目指すべき身体とは →

 

 

長打や本塁打を量産するプロ野球やメジャーリーグでは身体が大きい選手が多いと思います。

そのような選手になるには、どのくらいの体格が必要なのでしょうか。また、どのような身体を目指せば良いのでしょうか。

本記事では、選手の体格についての研究結果などから「理想の体格」について考えていきたいと思います。

 

 

【この記事でわかること】

1.大谷選手はメジャーリーガーの中では小柄。しかし、身体の大きさを技術でカバーしている

2.身体の大きさは、体脂肪ではなく、筋肉量で大きくすることが理想的

3.育成時代では、「身体の使い方」を身につけることも大切

4.野球や自分に合った身体づくりが重要

     

     

     

    【目次】

    1大谷翔平の体格について

    2.強打者に身体の大きい選手が多い理由

    3.育成期の体格差について

    4身体の大きさの限界とは

    5.目指すべき体型は人それぞれ!

     

     

     

    1.大谷翔平の体格について

     まずは、メジャーでも二刀流で活躍する大谷選手の体格から考えていきましょう。

     日本では体格が大きいと言われてきた大谷選手ですが、実はメジャーリーグの強打者と比較すると実はそこまで身体が大きくありません

     そのようなメジャーの世界でも活躍している大谷選手はどのような体格をしているのでしょうか。

     

     

    12018年MLB打球速度ランキングと体格の関係

    Baseball Geeksより引用、筆者一部加筆

     

     大谷選手は身長193cm体重92kgと、他の打者に比べると明らかに体重が軽いのがわかりますね。

     

     身長と体重から算出されるBMI(Body Mass Index:体格指数、肥満指数)を見ると、明らかに他の選手に比べて体格の小ささがわかります。

     大谷選手の24.7という値は、メジャーリーガーの中では一般的な値と考えられるので、その中でも高いパフォーマンスを引き出すことができているということです。

     これは言い換えると、大谷選手は身長のわりに体重が軽い選手”と言えます。

     

     体格から見ると不利とも思われますが、体重当たりの打球速度をみると1.62と他の打者よりも高いことがわかります。つまり、体重の割に打球速度が速いということです。

     

     単純に体格によって打球速度を生み出しているのでなく、大谷選手のように体格がやや小さいにもかかわらず、ボールに力を加えることができるということは、技術やテクニックに優れていることが考えられます。

     

     

     

    2.強打者に身体の大きい選手が多い理由

     メジャーリーグの強打者にパワー型の選手が多い理由の一つに、スイング速度を高めるために筋肉量が重要であるという考えが挙げられます。

     

    1.力-速度曲線

     

     図のように、パワーとは「力×速度」で表すことができるので、この原理から考えると、筋量が多い人ほど大きなパワーを発揮できます。

     

     さらに、下の図を見てみましょう。

     

    2.除脂肪体重とバットスイング速度の関係

    笠原ら、2012より引用、筆者改変

     

     上記の図からも、除脂肪体重が多い人ほどスイング速度が速いということがわかります。除脂肪体重とは、体重から体脂肪量を差し引いた体重になります(体脂肪計で測定される筋肉量は、除脂肪体重から臓器や筋肉内の水分量が差し引かれた値になるため、除脂肪体重よりも数値が低くなります)。

     

     除脂肪体重の参考値としては、高校生で60kg、大学生で65kg、プロ野球選手で70kg程度が目安と考えられます。身長や体重などによっても異なりますが、同年代と比べてみることで、自身の体格についての参考にしてみましょう。

     

     筋量が増加しスイング速度が高まると、打球速度が高まり長打が増えやすくなります。そのため、メジャーリーグの強打者たちは筋力トレーニングで筋量を増やしているのです。

     

     

     

    3.育成期の体格差について

     皆さんは、相手チームやチーム内のライバルとの体格差に悩んだことはありますか?

     

     特に小・中学生の期間は身体の成長スピードに個人差があり、身体が小さいことに悩む選手は少なくありません。全国大会の常連となっている東京・江戸川区の上一色中学野球部の西尾弘幸監督は、小柄な選手に必ず伝えていることがあるといいます。

     

     それは、「いずれ大きくなる」「いずれ同じになる」です。

     

     身体の成長に個人差があるのは受け入れるしかありません。成長期が来て身体が大きくなれば、ライバルとの差は埋まっていきます。西尾監督が重点を置くのは、体格にとらわれない身体の使い方です。

     

     身体の使い方は体格に関係なく大切です。身体が大きくても正しく身体を使えていなければ力を出し切れません。また、小柄な選手は大きくなる時に備えた準備にもなります。

     身体の使い方を知ることは、ケガを予防する上でも重要になります。

     

     上一色中学校では、正しく身体を動かすためのトレーニングを練習メニューに取り入れているようです。身体の動かし方を身に付けると、無駄なくボールやバットに力を伝えられるようにもなります。

     

     成長の差が著しい時期に自分に合った身体の動かし方を身につけることは、成長後の運動能力やケガの予防や早期発見などにも有効になります。

     

     

     

    4.身体の大きさの限界とは

     これまでの内容のように、成長期が来て身体が大きくなるまで、自分が今できるトレーニングをすることはとても重要なことです。

     しかし、身体の大きさには限界があります。それは身長の成長に限界が存在するためです。

     

     

    2.身長に対する体脂肪率、除脂肪体重(マーティン・バークハンモデルの数式より筆者作)

    ※体脂肪率5%まで絞った場合、身体はカタボリック状態(筋分解が起こりやすい状態)になるため、栄養が満たされていると仮定すると3kg前後の誤差が発生する可能性がある。

     また、野球選手の体脂肪率は10%~15%と言われています。

     

     この表における除脂肪量の値が、ヒトの限界の除脂肪体重と言われています。

     例えば、身長170㎝の選手であれば、除脂肪体重は66.5kgが限界ということになります。

     

     

     

    5.目指すべき体型は人それぞれ!

     上記の通り、大谷選手は、筋肉量を増やせば打球速度をさらに高められるかもしれません。しかし、二刀流の大谷選手にはそれがプラスになるとは限りません。なぜなら投球には多くの技術要素が複雑に絡んでいるからです。二刀流の大谷選手に合った体力特性があると考えられます。

     

     また、ポジションやプレースタイルによっても目指すべき体型は変わります。身長によって体格の限界が決まってしまうというのは少し残酷かもしれませんが、メジャーリーグやプロ野球で身長が低くても活躍する選手は数多くいます。

     

     そのような選手の多くは卓越した技術を持っています。

     大谷選手もメジャーリーガーの中では身体は大きくありませんが、技術は体格を上回ることを証明してくれています。

     

     自分に最適な身体を目指し、技術も同時に向上させることは高いパフォーマンスを発揮することにも繋がります。

     

     目指すべき身体は人それぞれです。

     自分が必要としている能力が身につけられる身体づくりをしていきましょう!

     

     

     

    引用・参考文献

    1. Baseball Geeks:打者は体が大きい方が有利!?データで検証!(閲覧日:2022911日)
    2. 笠原政志、山本利春、岩井美樹:大学野球選手のバットスイングスピードに影響を及ぼす因子(Strength & Conditioning journal 19(6), 14-18, 2012
    3. 150cm未満だった選手もプロ入り 悩む育成期の体格差、強豪中学監督が送る助言(Full-Count - Yahoo!ニュース(閲覧日:202294日)
    4. jp:生まれ持った筋肉量の遺伝的限界とは?(閲覧日:202295日)
    一覧に戻る