フレーミングが投球に与える影響 →

フレーミングという言葉を聞いたことはありますか?

これは、捕手の技術の一つで、キャッチングをするときに、ボール球をストライクにするといった試合を大きく左右する能力になります。

 

本記事では、フレーミングがピッチングにどのような影響を与えているのかをみていきます。

 

 

【この記事でわかること】

1.フレーミングは捕手のキャッチング能力

2.フレーミング能力が高いと試合を有利に進めることができる

3.ツーシームやカットボールはストライクにしやすい球種

 

 

 

【目次】

1.カウントを有利に進めるフレーミング技術

2.球種によってフレーミングに影響はあるのか

 

 

 

1.カウントを有利に進めるフレーミング技術

 現在のMLBの最新機器では、投手についての細かいトラッキングデータを計測することができるようになりました。

 

 その中で、投球したボールがホームベースのどの位置を通るボールであったのかを判定できるようになりました。また、そのデータはセンチ単位という詳細なデータとなっています。

 

 これらのデータを分析することで投手のピッチング能力として評価することができますが、見方を変えてみると捕手の能力の評価にもつなげることができます。

 

 この捕手の能力とは、フレーミングと呼ばれる能力で、「ストライクゾーンに飛んできた球を確実にストライクにする」、「ボール判定であった球をストライク判定にする」といったきわどい判定をストライクにもっていく繊細な技術です。

 

 誤差であると感じる人もいるかもしれませんが、ストライクが1カウントつくだけでも有利に試合を進めることができるため、フレーミング能力について着目することは、勝利に近づく一歩であると考えられます。

 

 

1.チーム別のストライクからボール判定ランキング(2018MLBデータ)

Baseball Geeksより引用、筆者改変

 

 この表の上位であるチームは、ストライクゾーンに来た球をしっかりとストライクにすることができていることを示します。

 最下位との差は、約6%であり、小さい数字に見えるかもしれません。しかし、2015年のプロ野球の1試合当たりの平均投球数149から考えてみると、約9球ストライクを逃してしまうことになります。

 

 この数球をストライクにすることができることで、失点のリスクを減らし、勝利に近づくことができます。

 

 

 

2.チーム別のボールからストライク判定ランキング(2018MLBデータ)

Baseball Geeksより引用、筆者改変

 

 この表は、本来ボールであった球をストライク判定にすることができた割合になります。この数値が高いということは捕手のフレーミング能力が高いと評価できます。

 

 ボールであると打者が見逃した場合に、ストライクカウントを取れることは投手の気持ちが楽になったり、打者がスイングをしなければならない範囲が増えるため、より空振りを誘いやすくなったりと、試合をとても有利に運ぶことができます。

 

 1位と最下位では13も差がついており、先程の2015年のプロ野球データで考えると約17球になります。17球分のストライクを獲得することができれば試合に大きく影響することは一目瞭然です。

 

 

 

2.球種によってフレーミングに影響はあるのか

 チームによって、判定を覆す能力が異なることが分かり、その技術が高いほど捕手のキャッチング能力が高いことが明らかになりました。

 

 しかし、フレーミングには、変化球の球種によっても影響があると考えられます。

 それは、変化が分かりにくい変化球や落ちる変化球、外からホームベースに向かってくる変化球やホームベース上から外にそれていくような変化球など、フレーミングのしやすさが異なるのではないでしょうか。

 

 

 

3.きわどいゾーンからストライク判定された球種ランキング(2018MLBデータ)

Baseball Geeksより引用、筆者改変

 

 この表は、ストライクかボールかのきわどいゾーンに投げられた投球の中で、ストライクの判定になった球種のランキングを示しています。

 

 最もストライクにすることができたのは、ツーシームとカットボールであり、同程度でありました。最もストライクにならなかったのは、スプリットという結果でした。

 

 

 スプリットやチェンジアップの値が低かった要因として、落ちるボールであるということが関係していると考えられます。落ちるボールであるとまずはホームベース上であるかが基準となり、さらにキャッチング時にグローブを下ろさないように捕らなければなりません。

 

 

 ツーシームやカットボールがストライクに変えやすい要因として、変化球を判断してスイングし始めるまでの時間が短い球種であることから、打者や審判も軌道を予想しにくいためではないかと考えられます。

 一般的に、これをピッチトンネルといい、変化球を判断するトンネルから出てくる位置が打者に近いほど変化を予想できずに空振りなどにつながります。

 

 

 

 今回はフレーミングに注目してきました。

 捕手の能力も重要ですが、球種による審判への影響なども含まれます。いかに、ストライクゾーンで捕球しているように見せるかという技術は、決していけない行為ではなくしっかりとしたフレーミング能力という技術であると理解して、取り組んでみてください。

 

 試合観戦をしていて、ボールだと思った球がストライクと判定された時は、捕手のプレーにも注目してみましょう!

 

 

 

引用・参考文献

  1. Baseball Geeks:捕手のキャッチング技術を評価する指標フレーミングとは(閲覧日:2022821日)
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